債券のリスクとは?ひと目でわかる4つのリスク

債券は基本的にはリスクのない金融商品です。
しかし、知らなければ大きく損をしてしまうリスクも存在しています。
債券のリスクを知ることは債券投資において、あなたの大切な資産を守る事にも繋がります。
この記事では債券のリスクについて紹介していきます。

目次

債券のリスク

債券のリスクは主に4種類あります。

債券のリスク  内容
信用リスク 発行体が倒産、財政難に陥った時、債務不履行になる場合がある。
価格変動リスク(金利変動リスク) 債券を時価売却する際に、価格と金利の変動によって損をする可能性がある。
流動性リスク 債券を時価売却する際に、買い手が見つからず自由に売却が出来なくなる。
為替リスク(カントリーリスク) 外貨から円にする際に、差損が生じる場合がある。

信用リスク

債券の発行体は債券を所有している人に対して債務を履行する義務があります。
定期的な利息(クーポン)の支払いと満期における償還金の支払いが約束されています。

しかし、発行体が倒産、財務状況の悪化によって、債務不履行(デフォルト)になる場合があります。
債務不履行になると、利息の支払いに遅れが生じたり、支払われなくなる事もあります。
場合によっては満期に支払われるはずの償還金が全額支払われなくなってしまいます

具体的な事例としてはマイカル社債問題があります。

マイカルは大阪市に存在した大手総合スーパーでした。
2001年に経営破綻、約3500億円の普通社債(SB)を発行していました。
しかし、この債券全てが債務不履行となりました。
投資家に返済された額は、元本の10%~30%でした。

格付け機関による信用格付けは「B」でしたが、大手企業であった事もあり、日本国内では大きく波紋を広げました。
国内で大手企業が債券において債務不履行となったケースには、JALや武富士が挙げられます。

債務不履行となった大手企業 格付け 内容
マイカル B 3500億円の普通社債が債務不履行
JAL CCC+ 670億円の社債が債務不履行
武富士 CC 926億円の社債が債務不履行

この信用格付けはムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ社などの格付け機関によって決定されます。
格付け機関によって、一定の水準を満たしたものを投資適格債と呼びます。
具体的には格付けが「BBB」以上の債券です。

投資適格債などの信用リスクによる債券の分類については、こちらの記事で紹介しています。
債券の種類を徹底解説!債券の分類からわかりやすくご紹介

投資適格債は国や政府、信用度の高い企業が発行しています。
信用リスクを考えて債券を購入するのであれば、格付け機関による評価は一つの指標となります。


価格変動リスク(金利変動リスク)

債券は基本的には発行体の財務状況が大きく揺るがない限り価値が変動しない金融商品です。
ただし、時価売却をする場合は価値が変動する事があります。

具体的な例を挙げるのであれば、元本100円、金利2%(5年満期)の債券を購入した人がいたとします。
しかし、この債券を時価売却しなければならなくなりました。
売却する際、金利が上昇しており、元本100円、金利3%(5年満期)の新しい債券が購入出来る様になっていました。
金利2%の古い債券は誰も買ってくれません

その場合、価格を下げる必要があります。
具体的には金利3%と金利2%で受け取れる利益の差額です。
最初の債券から利益の差額を引くと、95円となります。
つまり、金利の上昇によって元本の5%損をした事になります。

債券価格と金利の関係についてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事をチェックしてください。
債券価格と金利(利回り)の関係とは?誰でもわかる債券の仕組み

この様に金利が上昇する事によって既に存在する債券の価格が下がる事を価格変動リスク(金利変動リスク)と言います。
逆に金利が下がった場合は、時価売却した際に得をする事もあります。
経済情勢や景気に左右されて価格が変動するのは、債券よりもリスクが高いと言われる株式や投資信託と通じる物があります。

債券を時価売却する際はリターンもありますが、リスクが存在する事を認識しておきましょう。

流動性リスク

価格変動リスク(金利変動リスク)と同じく、流動性リスクも債券を時価売却する際に発生するリスクです。

債券の時価売却は既発債を扱う流通市場において行われます。
しかし、債券の買い手が見つからない場合、流通市場で売却する事は出来ません。
すぐに現金にしたい場合でも、希望した価格ですぐに売却する事が出来ない可能性があると言うことです。

債券をすぐに時価売却できない主な原因は2つあります

1つ目は、債券の発行量の問題です。発行量少ない場合は欲しい人がいる可能性が高いこともあります。
逆に多く発行されている場合は希望価格で売却できない可能性も高いです。

2つ目は、債券の信用性です。信用リスクの少ない投資適格債を購入したいと考える人は多いでしょう。
不祥事の発覚、財務の悪化が示唆されると、債券の売却が困難になる可能性もあります。

 

債券の時価売却には購入した債券の信用性や、その時の経済情勢や景気が重要となります。

為替リスク(カントリーリスク)

為替リスクは、外貨で債券を購入した場合に発生します。
利息や償還金を外貨で受け取る場合、外貨を円にする際に差損が生じる場合があります。

外貨建て債は、為替市場や外国の経済情勢の影響を受けます。
外貨建て債を購入した国の政治、経済が混乱し、為替市場や証券市場によって資産価値が変動する事があります。
これをカントリーリスクと呼びます。
特に外国の国債を所有する場合は、その国の政治や経済情勢の影響を大きく受ける事があります。

債券投資における為替はハイリターンですが、リスクもかなり高いので注意が必要です。

まとめ

債券のリスクに関して理解して頂けたでしょうか。

信用リスクを下げる為には債券の購入時に、発行体が信用できるかどうかしっかりと検討する必要があります。
格付け機関の情報をチェックして購入すると良いでしょう。

債券を時価売却する場合は、価格と金利の変動と流動性からリスクが発生します。
完全にリスクを避ける為には時価売却しない事が一番です。
しかし、どうしても時価売却をしなければならない場合はリスクがある事を覚えておきましょう。

また、為替リスクが発生する外貨建て債は債券の中でもハイリスクハイリターンです。

リスクを回避する事は資産を守る事に繋がります
資産を増やす手段を持っていても、資産を守る事が出来なければ資産は増えません
皆さんもリスクを回避する事によって、債券投資で安定した資産運用を行っていきましょう

債券投資についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
債券投資とは?利回りやリスクの関係とおすすめの債券投資について

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